考へれば考へる程遠退いていく
夢を翻しては世界を繋ぎ直してゐる
金色の鳥が鋭い声で鳴いた
其れは遠い宇宙に反響して
青空を振るわせる
空から零れ落ちてくるのは涙
天氣雨
、
既に失われてしまつた世界には
私の求める夢があつた
愚かな私は
其れを其れと認識する事が無い侭
現へと変換してゐたのだ
雲が生まれては消えて往く速さで
私は目醒める
朝の凛とした空氣が私の意識に流れ込む
額に刻まれた夢を反芻しながら
もう一度眠りに就こうと試みるが
其処にはもう何も無かつた
現に変換された際
切り捨てられた夢の廃材が
無残な迄に散在してゐるだけだ
「我思ふ、故に我無し。」
全ての想いから解放されて
私は私を思ひ出す
斯くて
また此の場処へと辿り着いた
夢を失くす其の代償に