石畳の路地でぼくは
自分を見失いそうになる
…………白い鳩は飛び立ち
青い空へと消えていく
ぼくはひとりきりで
鐘の音を聴いている…………
ぼくが其処に居るという証明を
一体誰ができるというのだろう
…………噴水がその腕を伸ばし
空を掴もうとする
それは何かの反映か
それとも
ひとつの虚無的現象にしか
過ぎないのか…………
陽は動くことを忘れてしまったかのように
しんと光の雫を落とす
その光は水に澄き通り
輝かしげに瞬きをする
ずっとこんな風に
静寂のままであればいいのに
ずっとこんな風に
世界が廻らなければいいのに